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2006/03/10

反省なき第3セクター運営

地方自治法の百条に基づき、第3セクター「秋田空港ターミナルビル株式会社」の不透明な経営実態を解明するために設置された特別委員会でしたが、鳴り物入りで調査が始まったわりには、さほど大きな成果を上げたとは言えないようです。限られた時間とさまざまな制限の中での取り組みなので、いくら強制力を伴う百条委員会であっても全ての疑惑を解き明かすのは難しいのです。

それでも、同社幹部がレベルの低い公私混同を繰り返し、「よくもまあ、これほど会社を食い物にできたものだ」と呆れるような事例はいくつも発見することができました。

今、私の手元の資料に交際費一覧表があります。これは平成15年7月23日から平成16年4月21日まで、山本正前社長(既に辞任)が使った飲食代を記録した空港ターミナルビルの内部文書です。いかに仕事上の付き合いが多かったにしても、記録された9ヵ月間に会社のトップが連日連夜、しかも自分のお金を一切使わず深夜まで飲み食いしている姿はあまりに異様です。

これら接待は1次会では終わらず、相手を引き連れて2次会3次会へと流れ、時には山本前社長が最後に1人で立ち寄ったと思われるスナックの支払い記録まであります。接待場所として選ばれた店の多くは、この秋田で高級店として知られるレストラン・料亭・クラブなどでした。その上、接待相手を記した欄には寺田典城知事やその秘書、あるいは空港業務と密接なつながりのある交通政策課の職員、そして空港ターミナルビルに出入りする業者らといった面々がずらりと並びます。

■呆れた公私混同

一部マスコミが報じたのでご存知の方も多いと思いますが、山本前社長の私的な「誕生祝い」はその呆れた実態の典型といえるでしょう。平成16年2月18日夜、秋田市内の高級ステーキハウスに山本社長、寺田知事、その秘書ら5人が集まり、7万9800円分を飲み食いして空港ターミナルビルがその支払いを肩代わりしております。さらに彼らは引き続き市内の高級クラブを2店訪れ、その請求をすべて同社にツケ回したのです。

なぜ、社長の個人的な誕生会の費用を会社が負担しなければならないのでしょうか。なぜ、そこに知事と側近の秘書が呼ばれるのでしょうか。なぜ、招待を受けた側は過剰な接待に疑問を抱かなかったのでしょうか。同社の問題を追及する過程で山本前社長のワンマンぶりも指摘されていますが、目に余るこの暴走は彼ひとりの所業で済ませられるものではありません。

例えば、同社の役員でありながら接待を受けていた寺田知事の責任はどうでしょうか。道義的な問題ももちろんですが、選挙で選ばれた人間にとって奢り奢られの関係は公職選挙法に抵触しかねない行為なのです。「知らなかった」「それでは友人と気軽に飲みむこともできない」では済みません。事実、私たち議員はそうした面で誤解を招かないよう細心の注意を払っているのです。

一部報道は、空港ターミナルビルの乱脈ぶりが内部告発で明るみになるや否や寺田知事が同社に乗り込み、全社員を集めて「この会社は誰のためにあるのか。社長に逆らうのなら辞めろ」など、解釈の仕方によっては恫喝と受け止められかねない訓示をしたと伝えています。さらに、寺田知事は「フライトインジケーター」の購入を巡る疑惑で、すぐさま担当者A部長を告発する姿勢を示しました。証拠らしい証拠もないまま秋田県警に捜査を依頼するなど、この問題について慎重さを欠く発言や働き掛けを繰り返したのは不思議です。

空港ターミナルビルの接待を受けた側である寺田知事のこの慌てようを見て、多くの県民がどう感じたのか。私が耳にした多くの声をここで改めて紹介するまでもないと思います。

■権力闘争の果てに

一昨年の夏頃、私はある飲食店で偶然、作務衣(さむえ)を着た長髪の男性とカウンターで隣り合わせになりました。この男性は私のことを多少は知っていたようで、いきなり「アンタ、県議会議員かい?まだ若いんだろう?何期目かね?」と矢継ぎ早に質問をしてきました。後で知ったのですが、市内の歓楽街をよく飲み歩いていたというこの人物こそ、空港ターミナルビルの抱えるもう一つの問題「フライトインジケーター」の購入に大きく関わった民間側の中心人物B氏でした。

私はこのB氏と特別委員会で再び顔を合わせました。その時、彼はある委員の質問にこう答えています。「私の会社が4250万円で購入したインジケーターを7350万円で売ったのは事実です。しかし、それが何の罪になるのですか。儲けて何が悪いのですか」。一部委員の方がこのB氏の態度を不遜と感じて憤慨する場面もありましたが、私は初めて出会った時に感じた彼の「したたかさ」を改めて思い起こしました。

もちろん、売買によって収益を上げること自体は悪事ではありません。ただ、そのために何をしたのかが問題なのです。例えば、インジケーターの納入に関わったB氏の会社では一時期、A部長の夫人が役員を務めるなど、両者の間には密接で不可解なつながりがあります。特別委員会も空港ターミナルビルのA部長が業者のB氏に何らかの便宜を図ったと見て質問を重ねましたが、多くの疑惑が解明に至らなかったのは非常に残念なことです。

結局、この特別委員会を通じてハッキリした腐敗の背景のひとつは、A部長が社内的地位を利用して自由気ままに振る舞っていたこと、そして途中から入ってきた山本前社長が会社の権限を掌握しようとしたことでした。この両者の争いは最終的に「暴露合戦」となり、県民の間にもこの2人が「第3セクターを食い物にした悪者なのだ」という見方をされる意見が少なくないように思います。

しかし、この争いの中で寺田知事や県職員らが山本前社長の接待を受けていたのは紛れもない事実です。また、単なる権力闘争では「過剰接待」の説明もつきませんし、この接待の席にある業者が加わって「空港に立体駐車場を建設する話をどんどん進めていた」という内部告発もあるようです。そして、これらの疑惑も事実であるとすれば事態は非常に深刻です。特別委員会の追及の手が及ばなかったこの問題の根は、多くの県民が考えている以上に深いのかもしれません。

■秋住、食糧費の反省はどこに?

さて、今から15年前のことになりますが、皆さんは第3セクター「秋住」のことを覚えているでしょうか。当時、県議1年生だった私はこの問題に全力を注いで取り組み、2年をかけてその全容を解明いたしました。以来、私は県内にあるさまざまな第3セクターを監視し、抱える問題に注目してきたつもりです。しかし、当時と比べて第3セクターはどれほど健全になっているのでしょう。今回の問題にしても結局は、第3セクター特有の悪しき面が出ていることは疑いようがありません。

特別委員会は、空港ターミナルビルの調査報告の最後に「知事の責任は誠に重大である」という厳しい文言を添えました。空港ビルのトップである寺田知事が部下を連れ、同社のツケで飲んだからには当然です。かつて秋田県全体を揺るがした食糧費問題の解明に取り組み、改革を掲げる寺田県政の実現を願って奔走した一人として今、私の胸の内は様々な思いが交錯しています。

この問題は寺田知事自身にとって大きなダメージであるばかりでなく、秋田の閉塞感や閉鎖性、あるいは馴れ合いで物事を進めるというマイナス・イメージを県内外に植え付ける重大な事件であったと私は思います。そして経済的停滞の続く秋田の再生に真剣に取り組まなければならないという時、寺田知事の指導力が低下しつつあることを与党議員としてとても心配しております。

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