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2006/06/22

小学生の死と地域の変化

ひとりの女性の暴走から入学間もない小学1年生の命が奪われ、自然環境に恵まれた静かで美しい町・藤里の住民が混乱に陥っています。マスコミの過剰な報道もあり、町のイメージダウンも免れないようです。

藤里町は秋田県と青森県にまたがる「白神山地」が世界遺産に登録されたのを機に全国的に注目され、ようやく観光地として認知され始めたばかりでした。町ではキノコの栽培など特産品の開発にも力を注いでおり、合併に加わらず自立に向けて努力を重ねていた地域住民の戸惑いを思うと心が痛みます。

今回の事件で改めて痛感したのは、都会のみならず地方の小さな町も安全ではなくなったということです。昔であれば、田舎はのどかで平和だと誰もが思っていました。確かに少々わずらわしい面はあるのかもしれませんが、田舎の密接な人間関係のおかげで、何か変わったことがあればすぐに情報が広まったものです。

皆さんもご存知の通り、私も事件の起きた藤里町と同じ山本郡の出身です。私が幼い頃、外部から我が村を訪れるのは行商や旅芸人の方などごく限られていました。たまに「酒しらべ」(税務署による密造酒の摘発)がやって来ようものなら、情報は瞬く間に各家々へと伝わり、さらには隣村へと伝達されていました。

そうしたコミュニティーの中で私たち子どもはおとなたちに守られ、日が暮れるまで伸び伸びと野山を駆け回り、川で泳いだり魚を釣ったりしていました。ところが、今回の事件はそうした「のどかな田舎」のイメージを根底から覆したといえます。事実、地方の町は中央の「都会人」が想像できないほど様変わりしているのです。

■薄れる地域への参加意識

私はたまに県内の町村に出かけるのですが、中心部を離れると昼はどこも住民の姿が見当たりません。家にこもっているからではなく、働きに出ているからです(もちろん人口減少の影響もあります)。住民の方に聞いてみたところ「同じ集落に住んでいても、最近は互いに顔を合わす機会が滅多にない」そうです。そして、こうした変化の中で住民の考え方も変化していることは否定できません。

以前と比べて干渉を嫌う人たちが増え、いわゆる「都市化」が住民の意識に浸透してきたといえます。その一方では、地域に張り巡らされた連絡網が心ないウワサを広げるパイプになっているという、皮肉な現象も見られます。つまり、何か「異変」があっても実態はつかみ難くなっているというわけです。

6月の県議会定例会でも、もっぱら藤里町で起きたこの事件が話題の中心となっています。中には「もっと民生委員を増やすべきではないか」と主張する方もいらっしゃいます。確かに、それもひとつの手段であろうと私も思います。もっとも、これとて事件を未然に防ぐ決め手とはなりえないでしょう。

今、藤里町では保護者が子どもたちを学校まで送迎しています。が、いつまでもこうした状態を続けるわけにはいきません。やはり、学校・保護者・警察・ボランティアが密に連絡を取り合い、地域ぐるみで地域と子どもたちを見守る体制が必要です。

この体制作りに、住民(特に若い層)の理解と協力は不可欠であると考えます。地域への参加意識、帰属意識をより良い形で高め、連帯をいかに強めていくかが課題です。戦後日本の個人主義は、その陰で周囲への無関心を産みました。しかし、自分たちの住む町は自分たちの手で守るという気概なくして、いったい何ができるのでしょうか。私たちはまず、このことを肝に銘じなくてはなりません。

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