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2006/10/25

知事の汚職を生んだ背景

東京地検特捜部がついに佐藤栄佐久・前福島県知事の逮捕に踏み切りました。そのための捜査は数年に及んだといいます。複雑な事件の背景はおそらく、地元警察の力では解明できなかったでしょう。さすが、高い捜査力を持つ「特捜」です。

30年前の話になりますが、福島県では同じ東京地検特捜部によって、当時の知事が汚職で逮捕されたという過去があります。この事件では新進気鋭の検事・宗像紀夫さんが捜査に当たり、朝日新聞支局の若手記者・吉田慎一さんが克明に報道しています。吉田さんが地検の植え込みに隠れるなどして懸命の取材を敢行し、検事らとせめぎ合う姿は後に「木村王国の崩壊」という本にまとめられ、ベストセラーとなっております。

今から2年前、朝日新聞の秋田支局から本社に戻る若手の記者に、私はこの「木村王国の崩壊」を持たせ、「この本を読んで大いに感銘した男が今、地方議員として頑張っていると吉田さん(現在は朝日新聞社の常務取締役)にぜひ伝えて欲しい」とお願いしたものです。

話は逸れましたが、福島県は「木村王国」と称されたその当時と何ら変わらない状態にあったといえるのではないでしょうか。

公共事業を発注してもらう見返りに、3パーセントとも5パーセントもいわれるリベートを支払うのが業界の常識なのだという噂は、私も何度か耳にしたことがあります。相も変わらずこうした事件が起きるのですから、これはまったく根拠のないデマと片付けるわけにはいきません。繰り返し汚職事件が起きるのは、構造的な問題であることを意味していると思うのです。

知事は公共事業の発注のみならず、絶大な権限を持っています。事件が起きた福島県でも「若い県議が佐藤前知事に睨まれて震え上がった」「側近は佐藤前知事を恐れてものが言えず、イエスマンばかりだった」など、その専横ぶりを伝える報道は少なくありません。

しかし、これは何も福島県に限った特殊なケースではありません。程度に差はあるにせよ、自治体の長の強引な振る舞いはどの自治体でも聞かれる話なのです。

例えば、圧倒的な権力者である首長に「次は落としてやる」と言われれば、議員は少なからずプレッシャーを感じます。しかし、議員はそれにひるんではなりません。何故なら、権力の腐敗や暴走をチェックし、防ぐのが我々議員の仕事だからです。その点で、福島県議会は十分に機能していなかったのではないか、という疑問も生じます。

この国には、地方自治法という立派な法律があります。そして、議員には行政を監視する権利、質問する権利、調査する権利、議決する権利を与えられています。議会は行政の附属機関ではありませんし、また追認機関でもありません。地方自治体は、行政とそこから独立した機関である議会からなる2元制を取っているということを忘れてはならないと思います。

ところで、私は県議会議員となってから15年間、1度たりとも当局から直接プレッシャーをかけられたり、嫌がらせを受けたり、妥協を持ちかけられたことはありません。正々堂々、正義を貫く姿勢を明確に示している議員には、そういう工作は一切通用しないのです。

もし仮に「いざという場面」があるとしたら、議会で論陣を張って問題を正していくだけです。身の危険を感じるようなときは、それこそあの「地検特捜部」が黙っているはずがありません。県民の皆さまに「秋田県議会は何をやっているのか」と叱責されることがないよう、私は議員を志した当初の気概を常に忘れず、今後も頑張って参ります。

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