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2006/12/24

12月定例会の焦点(1)

今月19日の地元紙・秋田魁新報の3面をご覧になられた方はご承知と思いますが、「県議会記者席」というコーナーにその前日の総括質疑における私の質問のポイントが詳しく紹介されております(21日の同紙夕刊「杉」にもその模様が掲載されました)。

■何故、新税の創設なのか

県は今後、子育て支援や学校教育の充実のため、県民の皆さんに県独自の新税を課そうという意向を強く持っております。子育て支援を現状のまま継続した場合でも、毎年およそ30億円が必要となります。これをもう少し充実させるとなれば、38億5千万円かかると言うのです。

また、学校教育を充実させるためには高等学校の統廃合や老朽校舎の整備に毎年およそ102億円、充実強化でさらに119億円ずつ出費しなければならないそうです。これだけの事業をするためには、県民(個人県民税納税者)1人当たり年間最大で1万2千円、最小でも5千6百円ずつ負担してもらうというのが新税の概要であります。

県の示したこの素案に対する問題点は次の通りです。

a)何故、子育て支援事業に便乗する形で、学校施設の整備などハード事業を一緒に盛り込んでいるのか。

私は、学校施設の整備は子育て支援とはまったく別の事業であると考えますし、本来的に教育庁が毎年の予算の範囲内で行うのが筋ではないでしょうか。(※なお、寺田知事は議会終了後の記者会見で、ハード事業を取り下げる意向を語っています)

b)何故、子育て支援のために新しい税金を県民に強いるのか。現在の財源の中でも十分にやりくりできるのではないか。

県はさまざまな形で支出を切り詰めています。しかし、ムダな支出はまだまだあるはずですし、もっと予算を削っても良いであろう事業も多いのです。県は「他はギリギリ切り詰めているし、地域福祉基金も平成20年にはゼロになる」と説明します。しかし、県民の皆さんに新たな税を課すというからには、もっと様々な角度から議論する必要があります。

■3点セットの意図

県内の景気は回復しつつあるとは言うものの、公共事業は大幅に減ってしまい、農業総生産もなかなか上昇しません。商工業界の皆さんからも、県内の厳しい情勢を訴える声が数多く届いているのです。本県を取り巻く経済環境は相変わらず厳しいと思いますし、医療費の値上げや年金の目減り、あるいは定率減税の廃止などで県民の暮らし向きはいっそう苦しくなっております。

そんな時に、県が急いで県民の皆さんに新税を課す必要があるのでしょうか。例えそれが1000円、2000円であっても新税の創設には慎重であるべきです。

今後、子育て支援のための新税は2月議会に正式な案として提出される見通しです。県ではこれまでに県総合審議会でずっと煮詰めてきておりますし、県内50ヶ所近くで寺田知事自ら先頭に立ち、新税の必要性について説明会を開催してきました。また、1月には県民の皆さんを対象としたアンケート調査を行う予定です。

私が言いたいのは、このアンケートが見方によっては「誘導質問」と思しき内容になっている点です。また、地元紙の記事にもあるように、これから議会が本格的な議論を始める前にこうしたアンケートを実施し、審議会や県民への説明会を行って、新税の方向をある程度固めてしまおうという意図であろうと思うのです。

■議会の使命とは何か

私は総括質疑で、県のこうした手法を牽制したばかりではなく、同僚の県議にも「県は、審議会・県民説明会・県民アンケートという3点セットで新税を固めつつありますよ」と警報を発したつもりです。

いつの時代でも、支配者の側が大衆に新税を課そうとする時は、議会は常に大衆の側に立って厳しい姿勢で臨んいかなければなりません。議会政治はイギリスに始まりましたが、当時の王は何かにつけて国民に税金を課し、国民は大きな負担に喘いでいました。これに対して議会は猛然と立ち向かい、「課税は議会の承認が必要」という画期的な一札を王から取り付けたのです。

1689年の「権利の章典」(Bill of Rights=イギリスの不文憲法の法典。国王も否定することのできない議会の諸権利を規定したもの)がそれであります。そして、近代的議会政治はここから始まったのです。

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