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2007/02/08

疑問が残る県の調査

子育ての支援と教育の充実を進めるために、新たな税負担を求めるべきかどうかということで、県が県民の皆さん2000人を対象に行ったアンケート調査の結果が7日に公表されました。これを受けて、8日の地元紙1面には「全体、負担容認51・6パーセント」「無作為、反対52・5パーセント」という数字と共に「集計法に疑問の声」という見出しが並ぶ一方、知事は「税負担求める方針」と大きく書かれています。

この見出しと調査結果の記事をご覧になった県民の皆さんの多くは、まず最初に「ああ、賛否両論なのかな」という印象を持たれたのではないでしょうか。しかし、地元紙が指摘しているように専門家は違う見方をしています。例えば、私のように大学院の研究室で世論調査の「いろは」を少しばかり学んだ人間でも、このアンケート調査のやり方のおかしさにすぐ気付くのです。

普通、客観的なデータを得るために世論調査を行おうとする時は、対象者をすべて無作為に抽出するのが大原則です。県が毎年、民間の世論調査機関に依頼している「県民意識調査」でも調査対象を選ぶ時、必ず県全域を対象とし、満20歳以上の男女を住民基本台帳を基にして「層化二段無作為抽出法」という方法で対象を選んでいるのです。

こうしないと、客観的に正しい調査結果が得られるはずなどありません。ところが、今回の調査は知事公室が中心となって対象者を選別しています。

県の発表によると、対象者は住民基本台帳から無作為に選んだ1000人、県政モニター参加者200人、県内企業経営者200人、意見交換会などの参加者100人、小中学生の親500人、合計2000人となっているます。この中で、住民基本台帳から抽出した1000人については問題ないと思います。しかし、経営者は何を基準に選んだのでしょうか。例えば、県の幹部職員の皆さんと親しい関係にある方、寺田県政に理解のある方が選ばれた可能性も否定はできません。

また、意見交換会への出席者も国のタウンミーティングのような「ヤラセ」があったとまでは申しませんが、来場者の中にはそれなりの背景がある方が混じっていたとも考えられます。小中学生の親についてはそのものズバリの利害関係者、新税の「受益者」に他なりません。その選考も各学校を通じ、それぞれの裁量に任せたそうです。このように、これから利益を得る皆さんを調査対象に含めることは、この種の調査としては問題があります。

さらに、県政モニター200人のうち、半分の100人は地域振興局などからの推薦を参考に選んだとしています。県の出先機関が調査対象を選ぶというのもずいぶんおかしな話です。ひとつひとつ上げるとキリがないほどですが、こうした標本の作成は「作為」であると指摘されも仕方ありませんし、県民全体の意思を正確にとらえた客観的な調査として到底認められません。

知事は調査結果を見て賛成の多さに驚き、今後は税負担を県民に求めていくと記者会見の席で語っているそうですが、これから始まる県議会が県民から選ばれた機関であることをすっかり忘れているようにも見えます。万が一、成り行きによっては議会が難色を示すかもしれません。その場合、知事の立場はどうなるのでしょうか。県民との直接対話も結構ですが、もう少し議会の存在を考えていただきたいものです。

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