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2007/03/07

「子育て税」徹底して議論

3月6日の総括質疑で、私は40分以上にわたって「子育て税」について当局と議論をさせていただきました。以下、その要点について述べたいと思います。


■県の政策の進め方(行政手法)について

昨年から、県は総合審議会や県民アンケート調査、さらには100回以上にわたる県民との対話集会を行っています。これは県議会の頭越しに物事をどんどん進め、議会が「子育て税」を認めざるを得なくなるような雰囲気作りをしているに等しいと言えます。これは議会軽視であり、由々しき問題であると指摘しました。


■租税法律主義、租税条例主義の原則

仮に議会の頭越しに新税の導入をどんなに進めようとも、最終的に議会の同意(議決)を得ないと課税はできません。税は私有財産制の中で、国や地方自治体が住民から強制的にお金を徴収することですから、あくまで厳格に検討しなければならないのです。

古来より、支配者は何かにつけて税を国民から徴収しようとしてきました。しかし、法律や条例に依らなければ新しい税の創設、及び増税は許されません。ですから憲法84条で「新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と厳密に規定しているのです。

さらに、地方自治法第223条では「普通地方公共団体は、法律の定めるとこにより、地方税を賦課徴収できる」となっており、地方財政法第2条でも同じような規定をしています。


■公共財と準公共財の定義と受益者

地方においては、学校・消防・警察・道路などは皆で使用する公共財と言えます。この公共財を使用し、利益を受ける地域の住民は「受益者」と呼ばれます。この受益者から公共財を維持するために必要なお金を徴収することを受益者負担といいます。県は子どもを「準公共財」とし、子育て支援の経費負担を広く県民に求めようとしていますが、この解釈には無理があります。


■子育て税は地方税になじまない

また、税の徴収の方法は利益を受ける者(受益者)から徴収する「応益主義」と、支払う能力があるものから徴収する「応能主義」があります。国税は応能主義であり、例えば所得に対する累進課税がよく知られています。これに対して、地方税は受益者が税を負担する応益主義が原則となっています。

子育て支援の受益者は県民の限られた層ですが、この財源を捻出するための子育て税は応益主義を原則とする地方税に馴染むものなのでしょうか。私はまったく不適当であると考えます。何故かと申しますと、子育て支援は「公共財」でも「準公共財」でもないからです。

県側は分かり難い解釈をつけて子どもを無理やり「準公共財」とし、受益者負担の原則を当てはめて県民から税金を徴収しようと考えています。これはとんでもないことであります。そして、子育てをしている限られた人たちを支援するため、県民全体で費用を負担するという考え方は先の原則に反します。

仮に子育て支援を準公共財と規定し地方税の対象とするなら、男女共同参画税や高齢者税など際限のない新たな税の創設が可能となります。


■子育て税は「新税」と呼べるのか?

はっきり申し上げると、県が導入を計画している子育て税は新税ではありません。県民税率4パーセントに超過課税0.4パーセントを上乗せして4.4パーセントにし、これで25億円の税収を見込んでいるのですから、事実上の増税と言えるのではないでしょうか。


■現行予算で子育て支援は不可能か?

県は切り詰めるところは切り詰めているとし、これから先、国の地方交付税や国庫補助金が大幅に減らされることを理由に「新税以外に不足分を賄う方法はない」と主張しています。果たして県の説明は本当でしょうか。実は私ばかりではなく、県議会議員の多くは「現在の予算の範囲内でやり繰りができるのではないか」という見方をしているのです。

いずれにしても、県は9月の定例会で正式な条例案を提出したいとの意向です。この新税の問題は今後、さらに議論を深めていく必要があります。

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