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2007/08/16

小沢戦略と今後の政局

参議院の定数は242、今回の改選で自民・公明など与党系が獲得したのは合計105でした。これに対して野党はまず民主が109、共産が7、社民が5、国民新が4、日本が1、諸派・無所属が11の計137議席となっています。野党が過半数を占めたことにより、参議院の議長に民主の江田五月さんが就任、議会運営の要となる議運を始め、主要委員会の委員長を民主で固めることで、参議院の主導権は小沢一郎さんが握りました。

衆議院で議決された法案(予算や条約以外)が参議院に回ってきても、否決しようと思えばことごとく否決できますし、60日以内に採決へ持ち込めないと廃案となります。また、衆参の議決が異なった場合は、両院の協議会で調整することも可能です。さらに、参院の否決案件を衆院に差し戻して、2/3の再議決で通すこともできます。

しかし、小沢さんはこうした面倒な策略を巡らせるのではなく、真正面から安部総理を追い込むのではないでしょうか。そして、安部総理の求心力が低下している今、民主の支持率が高いうちに解散に持ち込み、一挙に衆院での逆転も図りたいところです。

逆に、自民はこの解散を避けたいと考えていると思われます。この状態では自公で衆院の2/3を占めるというは不可能に等しく、安部総理は今月中に内閣改造を行って実力者を引き込み、延命に腐心するはずです。ただ、それでもこの政権は長くは持たないでしょう。安部総理は結局、追い詰められて退陣せざるを得なくなると私は見ています。

そうなった時、小沢さんが注意しなければならないのは策に気を取られ、重要案件の判断に齟齬(そご)をきたすようなことがあってはならないということです。

例えば、11月1日に期限の切れるテロ特別措置法の問題です。もし再延長が出来ない場合、インド洋で給油活動に当たっている自衛隊は撤退を余儀なくされますし、日米関係に影響を及ぼしかねません。現に、アメリカの駐日大使が小沢さんを訪問して、その延長を求めていることを考慮しなければなりません。

この問題は、民主党内部でも意見が分かれています。また、今回の参議院議員選挙で選挙協力した社民党が、自衛隊の派遣そのものに反対です。国会での共闘や次の衆議院議員選挙における協力関係を考えるとき、きっぱり反対するのが民主党にとって得策であることは言うまでもありません。しかし、政党や組合など支援団体への斟酌で、日米関係、国際関係がおかしくなるような事態は避けなければならないと私は考えます。そして、小沢さんはそのことを百も承知でしょうし、充分に計算しているはずです。

私は今回、圧倒的に国民の支持を得た民主党がたったひとつの重要政策の判断如何によって「国益」を損ない、国民の期待感を一気に冷え込ませる危険性があるのではないかと心配しております。その意味において、党内のコンセンサス形成に努め、世論の動向をしっかり見つめることが大事であろうと思います。

もうひとつは、今回の選挙で掲げた公約をどうするかです。民主党が政権に近付けば近付くほど、具体的に国民に示さなければなりません。

まず、農政についてはすべての農家に対して所得補償をすると約束しています。しかし、財源などを含めてそれが可能なのかどうかを検討し、見通しを立てなくてはいけません。年金については、厚生・共済・国民年金すべてを一元化し、基礎年金はすべて税で賄うとしています。消費税は現行のままで行うということになっていますが、これも財源が問題になってくるでしょう。格差対策では最低賃金を全国平均1000円に引き上げる案を示しました。さらに、パート・契約社員・正社員の均等待遇を掲げています。ただ、それが3年程度の期間で可能なのかどうか、早急に検討する必要があります。

いずれ、財源との関わりが密接な政策は、政権党から逆に厳しく「突かれる」ことになるはずです。

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