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2007/12/15

いつまで続く特定財源

「お前は道路を作ることに反対するのか」と強く迫られたら、私も含めて大概の政治家は「いやいや、決してそうではない」と言い訳してしまいがちです。そして、何十年も続いてきた既得権を打ち破ることの難しさを感じます。それが「道路特定財源」問題の根源であります。

急激なマイカーの普及とそれに伴う道路建設が必要となり、かつ建設費の財源が不足していた時代に、田中角栄氏(元首相)が着目したのはガソリン税や自動車取得税、自動車重量税でした。そして、建設省(現・国土交通省)や道路族と呼ばれる国会議員たちがガッチリとスクラムを組み、長年にわたってこの「美味しい既得権」を聖域化してきたのです(それ故、道路予算を左右できる自民党の道路調査会長は、大変な権限を持っています)。

ガソリンについては1970年代の初め、財源が不足したということで「一定の期間に限って」という条件を付けて暫定税率を導入、1リットルあたり25円を上乗せし、それが今日まで続いています。これによって、国民は1リットルあたり51~52円の税金を納めているのです。 しかし、現代においてはこの道路建設を目的とした特定財源による税収は余りがちとなっています。そこで、「暫定的に上乗せした25円だけでも廃止できないか」という意見が国民の間から出てくるのは至極当然なことです。ましてや、ガソリン価格がこれだけ高騰しているのですから、こうした国民の悲鳴にも似た声はますます大きくなるでしょう。

ところが、政府自民党はガンとしてこれに応じません。この背景には「道路建設はまだまだ必要だ」という地方の大合唱があります。しかし、こうした要求をすべて満たそうとしたら、いつまで経っても道路を新しく作り続けることになると思うのです。日本中を道路だらけにして国家財政が破綻するまで、この既得権を手放さない―というのでは話になりません。

一方、真剣に国の台所事情や国民の生活を考えている政治家は、道路建設だけに使用されている特別財源を何にでも自由に使える一般財源化すべきと主張しています。小泉内閣や安倍内閣もこの一般財源化を図ろうとしましたが、結局はわずかな部分だけの移譲で終わってしまいました。これは、既得権を守ろうとする側の反発がいかに大きかったかを示すものです。

今、国民は2つの階層にはっきり分かれつつあります。裕福な高額納税者層はほんのひと握りであり、日々の生活に不安を抱える国民が圧倒的多数ではないでしょうか。名目上は中間層と呼ばれる国民がまだまだ多いとは言え、どんなに働いてもまともな収入が得られない「ワーキング・プア」が増加傾向にあることはよく知られています。 フリーター、パートタイマーなど所得が少なく、将来の保障さえ見込めない層は数百万人いるとされます。乏しい年金を頼りにツメに火を灯すような暮らしをするお年寄が、都会にも地方にも大勢います。

この現実を直視したならば、道路建設どころではないのです。 政府自民党は急いで年金改革に着手し、まずはお年寄りが生活できるように最低限の保障をしなければならないと思います。そして、ワーキングプアの問題も看過すべきではありません。この国の基本法である憲法は、国民が最低限の生活を送る権利を有するとし、国はそれを保障しなければならないとしているのです。

削られる一方の福祉や医療、展望の見えない農業、中央の大資本に対抗できない地方の中小商工業者―。予算はいくらあっても足りないくらいです。それを考えれば、道路予算は国土交通省の予算で賄うべきであり、道路建設以外に使えない何兆円もの特定財源を聖域化する理由はどこにもないはずです。なるべく早い時期に一般財源化し、福祉や教育、産業振興など不足している予算に充てるべき時期を迎えています。

私たち民主党は「せめて暫定税率だけでも廃止するべき」と訴えています。今の政治の流れを変える第1歩は、正にこうしたところから始まると私は思うのです。

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