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2008/02/14

餃子事件と食糧安全保障

中国製冷凍餃子が引き起こした食中毒事件の解明が進むにつれて、現地工場の製造過程で意図的に毒物が混入された疑いが強まっているようです。誰が、いったい何の目的でこのような行為に及んだのかはまだ分かりません。しかし、食料自給率が低く輸入に頼っている日本にとって、この問題は国民の「生命」に関わる重大なものです。監督省庁はもちろん、輸入業者はどこまでチェックしているのでしょうか。不安は尽きません。

今回の事件を受けて、中国製品を避ける現象が起きることは容易に想像できます。ただし、日本はさまざまな分野で中国製品に依存しているのも事実です。それをすぐ、国産に切り替えることは困難と言わざるを得ません。そもそも、中国で製造するのは国内よりもはるかにコストが安いからです。例えば、国内製造に切り替えてコストが増したとなれば、それは価格の値上がりにつながります。それを消費者が受け入れ、国産品に切り替えるかどうかも微妙だと思います。

今回の事件は日本国民に大きな衝撃を与えました。ただ、その一方で日本の食糧自給のあり方を考えるひとつの機会となったことも確かでしょう。現在、日本の食糧自給率はカロリーベースで39パーセントに過ぎず、先進国の中でも突出して低い数字となっているそうです。ちなみに農業が盛んなフランス、アメリカは食糧自給率が100パーセント、ドイツやイギリスも日本よりははるかに高い水準にあります。

日本は工業に力を注いで経済成長を遂げましたが、その一方で輸入食糧に頼り、農業を衰退させてしまいました。国際的な経済力を増したことにより、国内で農産物を生産するよりも、商社を通じて輸入したほうが安くなったためです。しかし、食糧自給率が4割を切る今の状況でもし輸入がストップするようなことになれば、日本はもうお手上げです。

現実に食糧が手に入らないような事態はありうるのでしょうか。私が心配するのは、地球温暖化によって世界各地で多発している異常気象です。アメリカを初めとする世界の穀倉地帯がもし大規模な干ばつに見舞われたら、輸入がストップすることは充分に考えられると思います。さらに日本の国際収支が赤字に転落し、食糧を輸入する外貨に事欠くような状況に陥ったときはどうするのでしょうか。

今は生産コストの安い国から食糧を大量に輸入していますが、例えば中国などは経済が急成長しています。それが国民の食生活に変化を与え、肉食も増えているそうです。牛肉や豚肉が中国で大量消費されるようになれば、そのエサとなる穀物の消費量も爆発的に増えます。現実に中国の肉食志向が国際市場に反映されて穀物の価格が上昇、日本にも大きな影響を及ぼしています。

事態は今後、さらに深刻さを増すでしょう。近頃は「食糧の安全保障」という言葉もごく当たり前に使われるようになっていますが、日本としてそれをどう具体化するかです。残された時間はそう多くありません。

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