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2008/03/23

異例続きの議会を終えて

寺田知事の提案した新年度予算案が、与党・野党を問わず全会一致で否決され、逆に減額修正案がすんなり通ったことに見るように、とにかく異例尽くめの定例議会でありました。

寺田知事は子育て税を諦めましたが、ヴィジョンに盛られている妊婦無料検診の回数増(3回増)やゼロ歳児の保育料半額支給などを議会で論を交わすことなく、一方的に新年度予算に盛り込んだため、最大会派の自民党会派はもちろんのこと、与党的な立場を取ることが多かった第2会派・みらい21まで怒らせてしまったのです。ヴィジョンに示された事業そのものを白紙に戻し、原点に戻って精査せよとのことであると思います。

ただ、私に言わせれば妊婦検診のこれまでの回数7回に3回を追加しようという案、ゼロ歳児については毎月1万円の養育料補助が中止される代わりに、保育料を半額負担しましょうという案は進めるべきものと考えます。結局、ゼロ歳児を持つ親は1万円の補助も保育料の半額負担も失い、子育て税を巡るゴタゴタのこのとぱっちりを受ける形となってしまいます。

副知事の人事案件については、自民会派が「2人制は認めがたい」と前回同様の主張を崩しませんでした。西村副知事がギリギリのところで「私が辞任してでも」と捨て身の戦法で県産業経済労働部長・佐藤文一氏の就任を認めるよう議会に要請したものの、交渉は失敗に終わりました。佐藤氏は中央(経済省出身)から出向してきた方で、実は国に帰らなければいけないところを寺田知事が、「企業誘致などを進めるために必要な人材」と判断、副知事就任を条件に引き止めていました。私としてその辺の事情を踏まえ、メンツにこだわることなく佐藤氏の副知事就任を認めるべきだったのではないかと考えます。

また、振興局を3局に統合する案は、やはり時期尚早と思われます。確かに合理化はしなくてはなりませんが、よほど緻密に考えて進めないと、局が廃止された地区は確実に衰退するでしょう。これは道州制論議に似ており、例えば東北がひとつの州となって仙台辺りに州都を持っていけばその一帯は格段に繁栄する反面、その他の県庁所在地は議会や本庁がなくなり、少人数の行政支所のみとなるようなものです。この振興局の統合は急ぎ過ぎないことです。

今回、私は予算委員会で平野美術館について時間をかけて議論いたしました。もちろん、再開発事業とはまったく利害関係はありませんし、水を差すつもりもありません。純粋に、美術館問題を100年の大計の中で考え、立派に残していかなければならない―という思いからお話しさせていただいたつもりです。

そもそも、この移転案は美術館を再開発の目玉、つまりは人寄せパンダに使おう―というものであり、急に持ち上がったものでした。後から移転のメリットを並べ立てたところで、美術を愛する人たちを納得させるのが困難なのは当然です。千秋公園とマッチした古風な佇まいは独特で、あの静かな森の中にあってこその施設であると私は見ております。それを金勘定や合理性だけて建て替えようというのは、あまりにも杓子定規ではないでしょうか。それでも確固たる根拠があれば良いのですが、皮算用であれば県立近代美術館の二の舞になりかねません。

なお、財団法人は最終的に県の申し入れを受けて移転に同意しましたが、話し合いによる賛否が割れてしまい、最後は投票を行ってきわどいところ(賛成3・反対2)で結論を出したと聞いております。しかもその経緯は非公開であり、県民にとって分からないことだらけです、7人しかいない理事を抱き込むため、あの手この手の工作が行われた―という噂が出るのも無理からぬことかもしれません。

個人的には、もう少し時間をかけて県民的な議論を行う場所が欲しかったと考えます。思惑を排し、純粋に芸術作品や美術館、美術愛好者のための議論を尽くせなかったのでしょうか。その点については少なからず疑問が残ります。

さて、寺田知事の任期はあと1年を残すだけとなりました。国であれ地方であれ―私が知る限りでは―権力者の最後は案外あっけないものです。そもそも、権力というのはそういう面を持つものなのでしょう。だからこそ、権力者にとって引き際は難しい問題なのです。最近の寺田知事を見ていますと、表情が柔和になり、議会への対応が淡々としてきたようにも感じます。もしかしたら、寺田知事も権力者としての引き際を考えているのかもしれません。

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