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2008/03/31

ガソリン国会後の政局は?

国民にとって何が何だか分からない国会の攻防が続く中、民主党に押しまくられる形で与党の策も尽き、ついにガソリンが25円、軽油が17円値下げすることとなりました。価格高騰が止まらなかったガソリンと軽油だけに、ドライバーにとって少しでも安くなるというのは有難いことに他なりません。しかし、自民党や地方の首長たちは税収の大幅な減少を危惧し、揃って「道路関連事業がストップする」と危機を訴えています。

確かに、このままの状態が続けば地方分の9000億円(国も合わせると2兆6000億円)の税収がなくなるのですから、大変なのは分かります。ただ、もともと30年以上も前に「財源が不足しているので」とほんの一時、暫定という形で上乗せした税であったはずです。暫定というのであれば、財源難を乗り切った時点で止めるのが筋だと私は思います。つまり、それをしなかった政府のしたたかさこそが問題なのです。

暫定と称しておきながら、政府は何かと理由をつけて今まで税の上乗せを維持してきました。国民にとって、これはとんでもない話であります。自民党や地方の首長たちの要求をそのまま受け入れていたら、おそらくこの暫定の上乗せ分はいつまで経ってもなくなりません。生活を切り詰めている多くの国民の立場から見れば、これはすなわち2兆6000億円の減税であり、歓迎する声が多いのは当たり前なのです。

ところが、自民党はこの25円安くなったガソリンを4月末に衆議院で再議決して、元に戻してしまおうという腹づもりのようです。しかし、事はそれほど簡単ではありません。一旦安くなったものが再びひっくり返されて値上げとなれば、国民の多くが怒ることも予想されます。したがって、価格を元に戻す場合はそのタイミングが非常に難しいのです。

福田総理は、ガソリンや軽油などの税収を来年から一般財源化したいとの考えを明らかにしています。もちろん、これが実現したら革命的な出来事であることは言うまでもありません。何しろ、6兆4千億円もの資金が道路のみならず、福祉や教育、子育て、さらには農業支援などさまざまな分野に広く使えるのです。逆に道路関連の官僚たちや族議員と呼ばれる方々は、利権を奪われるという危機感を抱くことでしょう。

その福田総理の発言を捉え、マスコミ各社の論調は「民主党はなぜ、こんな良い話に乗らないか」という厳しい内容のものが大半のようです。なぜ乗らないのか。それはやはり、福田総理の言葉の「裏」を警戒しているからです。例えば、福田総理の記者会見における発言に対して、自民党幹部の皆さんが意外と冷ややかな反応を見せているのはどうしてなのでしょうか。

それは党の政調会や総務会での話し合いもなく、福田総理が勝手に話したという点に理由があります。つまり、自民党にしてみれば「それは機関決定したものではありません。私たちは知りませんよ」と言うことのようです。もしサミットが終わって福田総理が辞任し、新しい総理が就任した時、自民党は「知らぬ存ぜぬ」で逃げることができるということになります。かつて、小泉総理や安部総理も一般財源化を宣言していますが、結局は道路族の抵抗に阻まれました。私たちは、この経緯を忘れてはなりません。

だからこそ、民主党は福田総理の言葉に乗るわけにはいかないのです。

その福田総理の支持率が今、急速に落ち込んでいます。マスコミ各社の世論調査によりますと、ついに30パーセントを割り込んで危険水域に達しつつあるとのことです。もしここで解散をしたら、自民党の大敗は火を見るより明らかであり、福田総理も伝家の宝刀を抜くわけにはいきません。自民党は福田総理が窮地に追い込まれても、サミットまでは支えていくものと考えられます。

ただし、サミットが終わってしまえば即座に首のすげ替えがあり得る情勢です。おそらくは麻生氏あたりが有力ということになるでしょう。そして、麻生氏の人気で内閣の支持率を押し上げ、そこで解散に打って出ることになると私は見ています。一方、民主党にとってはガソリンが終わってからが本当の勝負です。何をテーマにして国民の注目、共感を集めていくのか。それが大きな課題であります。

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