« 洞爺湖サミット雑感 | トップページ | 秋田にふさわしい知事像 »

2008/07/20

旧長銀事件と国家の責任

今月19日の各紙の1面トップに、「元長銀頭取ら逆転無罪」という見出しが大きく踊りました。さらに2~3面、一部の新聞は社説などでもこの判決を取り上げ、事件の背景や争点などを詳しく報じています。

90年代、バブル経済が崩壊した日本では銀行がいくつも潰れています。その中でも、この事件の舞台となった長銀―日本長期信用銀行の倒産は最大規模でありました。長銀は戦後日本の産業復興を支え、総資産24兆円を誇る国策銀行というべき存在の金融機関だったのです。それが潰れるなど、いったい誰が想像したでしょうか。事件は当時の頭取や経営陣による粉飾決算が、証券取引法違反に問われたものでした。

私は法律の専門家ではありませので、判決の内容について評論はできません。しかし、どうもしっくりしないのです。検察側は不良債権を隠して利益を大きく見せるなど、「粉飾決済を行った」と指摘。一方、銀行側はそのような認識はなかったとした上で、大蔵省(当時)が銀行の融資に厳密な査定を求めた通達は金融政策の過渡期のことであり、不良債権の処理を先送りしたことは「大蔵省との暗黙の了解事項であった」と反論。銀行側には責任がないと主張していました。今回、最高裁はこの争いに対して刑事・民事ともに無罪を言い渡したのです。

この事件の背景には、国の政策があったと私は見ています。80年代のバブル経済期を振り返ってみると、銀行などは正にやりたい放題でした。ノンバンクはもちろん、株やゴルフ会員権、リゾート開発や土地投資などなど、担保割れを承知で際限なくカネを貸し出したのです。大蔵省も日銀も経済企画庁も、この状態に歯止めをかけませんでした。むしろ、野放しであったと思います。

この異様な状態が余りにも過熱して手遅れとなってしまった90年代初頭、政府は慌てて金融規制や土地規制を始めています。それが日本全体を立ち直れないくらい冷え込ませ、バブル経済を一気に崩壊させてしまったのは皆さんもご承知の通りです。長銀も含めた全国の多くの金融機関が、国のこの政策によって一挙に破綻の状態に追い込まれたといっても過言ではありません。そして、その銀行を救済するために、公的資金(国のカネ)を何十兆円も注ぎ込む羽目になったのです。

このバブル経済の顛末を考えてみると、長銀の事件を含めた一連の銀行倒産劇は結局、国の政策の失敗が原因だったといわざるを得ません。経営陣に責任を負わせることも必要かもしれませんが、あのバブル景気を野放しにした挙句、一気に萎ませた当時の政策遂行にかかわった大蔵省・日銀・経済企画庁などの幹部、さらには政治家は誰ひとりとして責任を取っていません。このことを私たち国民は忘れてはならないと思います。

バブル景気が崩壊し、日本の銀行や企業を救済するため、日銀は長期にわたってゼロ金利政策を進めました。これによって、国民の預金金利は未だにゼロ状態が続いており、本来得るはずであった数百兆円に及ぶ利息を失ってしまいました。結局、バブル景気とその崩壊のツケは、国民がかぶっているということなのです。

|

« 洞爺湖サミット雑感 | トップページ | 秋田にふさわしい知事像 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21420/22429924

この記事へのトラックバック一覧です: 旧長銀事件と国家の責任:

« 洞爺湖サミット雑感 | トップページ | 秋田にふさわしい知事像 »