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2008/11/10

オバマ氏の勝利に思う

民主党のバラク・オバマ氏が圧倒的な支持を得て米大統領選で当選を果たしたという報を耳にして、私は改めて「アメリカというのはやはり凄い国だ」と思わずにはいられませんでした。と言うのも、アメリカという国は日本人が想像もできないくらい複雑な人種問題を抱える国だからです。

先祖が奴隷としてアメリカに連れて来られたというルーツを持つアフリカ系住民が、公民権の適用を求めて大衆運動を繰り広げたのはほんの50年前のことでした。今も彼らに対する差別が色濃く残る中、アフリカ系の血を引くばかりでなく、上院議員になって数年しか経っていない若手のオバマ氏が大統領に選ばれた理由はどこにあったのでしょうか。

オバマ氏の演説を聞いていると、国民の熱狂的な支持の中で大統領となったジョン・F・ケネディとの共通点をいくつか見出せます。同じ民主党の若々しいリベラル派であることはもちろん、とりわけ酷似している点はメッセージそのものが歯切れ良く、強く大衆に訴える不思議な力を持っていることです。

例えばオバマ氏の「Change」(チェンジ)「Yes,We Can」(イエス、ウィー・キャン)という呼びかけには、日本人の私でさえ「オバマ氏はアメリカを変える」と感じてしまうほどの説得力があります。ブッシュ政権に対して不安と不満を募らせているアメリカ国民はなおさら、オバマ氏の訴える「Change」=変革に期待したのでしょう。

イラクとアフガニスタンという2つの戦争を抱え、アメリカの国力が衰えつつある時、資本主義の象徴であった巨大証券会社が突然潰れ、金融不安が急速に広がっていました。さらには国内の貧富の差は拡大し、多くの国民が貧困に喘いでいます。彼らの「今のアメリカを変えて欲しい」という切実な思いが、オバマ氏の勝利につながった――と私は考えるのです。

では、オバマ氏は今のアメリカが直面しているこれらの課題を解決できるのでしょうか。そして、アメリカは再び繁栄と自信を取り戻せるのでしょうか。

1929年(昭和4年)にアメリカの株式市場から始まった株価の暴落が、大恐慌となって世界を巻き込んだことを思い出してください。時の大統領ハーバート・C・フーバー(共和党)は事態を楽観視して、何ら解決策を示すことができませんでした。そして、次の大統領選で新たに選ばれたフランクリン・D・ルーズベルト(民主党)がニューディール政策を打ち出し、アメリカの経済を大恐慌のどん底から回復させることに成功しています。つまり、アメリカ国民は1人の大統領によって大きな変革を成し遂げ、繁栄と自信を取り戻すという歴史を経験しているわけです。

ルーズベルトは人間的な魅力も豊かな人物であり、相手の心理を見抜くという点において比類なき洞察力を発揮したと、時の国務長官コーデル・ハルは述べています。一方、オバマ氏はルーズベルトとは違う何か神秘的な魅力を持っているように見えます。私自身は彼ならきっと「Change」をやり遂げ、アメリカの歴史に名を残す大統領になるであろうと思うのです。

アメリカ同様、直面している数々の難局を乗り切って国民が"幸せ"を実感するためには、日本の政治も大きく変わらなくてなりません。果たして、私たちに「Change」の機会はいつ訪れるのでしょうか。

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