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2008/12/31

学力テスト成績公表の波紋

寺田知事が文部科学省や県内市町村教育委員会の意向を無視し、いわば独断という形で学力テストの成績公表に踏み切りました。学力テストの成績を市町村単位で公表したのは全国でも初めてのことであり、教育関係者のみならず各方面に波紋を広げています。

なぜ、寺田知事はそこまでしてテスト成績の公表にこだわったのでしょうか。中には売名行為ではないか、来春の知事選に出るための布石ではないか、といった声もあるようです。私にも、これほど強引な手法で公表した本当の理由は分かりません。

そもそも、文科省は学力テストを行うに当たって実施要領を定め、都道府県に通達していました。その中で文科省はこのテスト結果は今後の教育方針を決めるための参考にするとし、学力状況を調べるという目的をはっきり示しています。また、成績の公表については競争の激化や教育現場の混乱を招く恐れがあることから、各教育委員会に判断を委ねていました。

これは今から50年前、当時の文部省が行った学力テストが、教育現場に悪しき競争をもたらした過去を反省してのことです。また、現在の学力テストの科目は国語と算数のみであり、総合的な学力を測ることはできません。したがって、このテスト成績をもって児童や学校を評価することは不適切ですし、文科省もその点を繰り返し強調しています。

寺田知事は、このことをまったく斟酌せずに判断したように見えます。さらに、寺田知事に学力テストの成績を公表する権限がないというのも問題のひとつに挙げられています。知事には市町村教育委員会に対して何かを命じたり、教育そのものを左右する権利はないのです。強制的かつ法的根拠もなしに情報を公開することは法治主義を無視するに等しく、今回のケースは教育に対する公権力の介入と受け止められても仕方ない側面があります。

戦前の日本は国家の統制下で強制的に教育方針を定め、それが批判を許さない軍国主義には好都合でした。現在の日本の教育は、その反省から出発していることを忘れてはなりません。

さて、2008年は激動の1年でありました。最後に、2009年が皆様にとって実り多き年となることを祈念いたします。

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