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2009/06/08

「アメリカの時代」の終焉

20世紀はあらゆる面において「アメリカの時代」であったと申しても過言ではありません。政治、経済、軍事などいずれの分野でもアメリカは世界の中で抜きん出ていました。とりわけビッグ・スリー(フォード、GM、クライスラー)に代表される自動車産業と石油産業は、アメリカの経済力を象徴するものであったと思います。

フォードが同一デザイン、黒一色のT型を大量生産方式で市場に送り出したのは1908年。以後、この車は低価格を武器にアメリカの一般大衆に広く普及しました。一方、GM(ゼネラルモーターズ)は所得に応じて選べるように大衆車から高級車まで車種を揃え、青や赤などの原色を使って差別化を図り、瞬く間に急成長したのです。そのGMの高級車であるキャデラックはアメリカの富を象徴し、それに乗ることはステイタスシンボルでありました。

昭和30年代の半ばに私が上京した頃、東京に住む親戚は確か国産のダットサンやオースチンのぽんこつに乗っていました。田舎育ちの私はそれに乗せてもらうのを楽しみにしていたものです。そんな私をさらに驚かせたのが、みすぼらしい国産車を尻目に駆け抜ける大型のキャデラックでした。当時はその羽を付けたような流麗なデザインに度肝を抜かれ、「アメリカというのはずいぶん豊かな国なんだなあ」と思ったものです。

今回、そのキャデラックを生産・販売していたGMが倒産し、国営化されるのです。しかも、ビッグ・スリーの一角であったクライスラーも4月に破綻しており、残るフォードの経営も厳しい状況にあります。アメリカが世界に誇ってきた自動車産業がこうして崩壊しているということは、アメリカの経済が衰退の一途をたどっていることを意味しているのではないでしょうか。

かつて、大英帝国は7つの海に乗り出して広大な植民地を支配し、世界一の大国として君臨していました。しかし、19世紀末のビクトリア女王の時代を頂点に繁栄に翳りが見え始め、その後100年以上をかけて序々に衰退してきました。アメリカは彗星の如く現れたエネルギッシュな大統領・オバマ氏によって、奇跡的に立ち直る可能性もあります。ただし、20世紀に築いたと同様の繁栄を取り戻すことは到底できないと思うのです。大帝国と同様にアメリカも序々に長い時間をかけて衰退していくでしょう。

21世紀はおそらく、アメリカに代わって中国やインドなどの新しい国家が世界をリードしていくことになるでしょう。

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