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2009/08/17

マニフェストをどう読むか

昨今の選挙で注目される「マニフェスト」(manifesto)ですが、正確にその意味を理解されていない方も少なくないようです。私も実は、周囲から「あれって何なの?」とよく尋ねられます。このマニフェストをひと言で表せば「政権公約」であり、政権を取ったときに実行する政策を予算の裏付けと共に具体的に示したものです。

民主党のマニフェストの主なものとしてはまず、「子ども手当て」があります。これは毎月2万6000円を中学卒業まで支給する施策で、所得制限はありません。「年金」はすべての年金制度を一元化し、国民はどなたでも毎月7万円を受け取れるようにします。この他には「高速道路無料化」「ガソリンなどへの暫定税率廃止」「すべての農家に対する所得保障制度の創設」などがあります。いずれも分かりやすく、国民生活に直結した政策です。

自民党はこれら政策に「財源の裏付けがない、無責任だ」とし、民主党に政権を渡してはならないと盛んに宣伝しています。では、財源は本当にないのでしょうか。それは違います。民主党は当面、政府の埋蔵金を吐き出させる一方、207兆円の総予算そのものを組み替えて、ムダを徹底的になくすことで「財源の心配はない」としています。

それよりも、批判されるべきは自民党です。自民党は長きに渡って政権の座にありましたが、財源の裏付けどころか、借金の限りを尽くしてきたのではなかったでしょうか。1990年代から現在までの間だけでも、政府は430兆円以上の公共投資を行ってきましたが、その陰で赤字国債や建設国債を発行し続けていたのです。また、麻生内閣の経済対策にしても、財源がほとんど借金なのです。

自民党の歴代内閣が、このように財源の裏付けなしに公共投資を続けたり、又、様々なムダ遣いを黙認してきた結果、国と地方の抱えた借金は合わせて800兆円以上(国民1人あたりに換算すると600万円以上)に膨れ上がってしまったのです。自民党の「財源なきマニフェスト」という批判は民主党ではなく、むしろ自民党にそっくりお返しする話であります。

民主党が自民党に変わって政権を担当した時、これまでのムダ遣いや不要不急の事業を徹底的に検証し、予算そのものを組み替え、国民が今いちばん必要としているところに予算を重点配分するというのは当然のことであります。それをしてこなかった自民党が麻生首相みずからなりふり構わず民主党をこまごま批判するというのは、どっちが政権をとっているのかとも言いたくなります。

さて、今回の選挙に向け、民主党はマニフェストと共に「政権交代」のスローガンを前面に掲げました。自民党はそのスローガン自体を目的にしているのではないかと指摘しています。しかし、民主党のマニフェストを見れば、目的がどこにあるのかは明々白々です。行き詰った政権に代わり、国民のために新しい政治と国づくりを実行する。それが民主党の真の目標であることははっきりしています。

長期政権によって今、政官財の癒着構造が定着化し、ありとあらゆるものが閉塞状況に陥っています。国民の大半がこの現状に不満を抱えている以上、これを打開するには政権の交代しかないのです。麻生内閣がこの現実を言葉のトリックで覆い隠し、難局を乗り切ろうとしていることはみえみえなのです。

今回のマニフェストを読むにあたって、こうした視点や政権党がこの4年間に何をしてきたかといった政策の検証が案外欠けているようにも感じられます。ただ単に、並列的に両党のマニフェストを比較するだけでは充分とは言えませんし、マス・メディアにもこうした検証や視点が少し不足している―と指摘しておきたいと思います。

なお、民主党は7月30日に岡田克也幹事長が会見を行い、「小泉マニフェスト2005と自民党政権4年間の総点検(ダイジェスト版・図表)」を発表いたしました。詳細資料は下記リンク先に掲載されておりますので、民主党のマニフェストと併せてぜひご一読ください(PDF形式ファイルほか/閲覧にはAdobe社の無料配布ソフト、アクロバット・リーダーなどが必要です)。

 ■民主党の政権政策/Manifesto2009

 ■小泉マニフェスト2005と自民党政権4年間の総点検

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