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2010/01/21

権力の暗闘(3)

東京地検の捜査の行方は日々、混沌としております。果たして、捜査の手は小沢一郎幹事長に直接及ぶのでしょうか。

先日開かれた民主党大会で、小沢幹事長は党務報告を一切取りやめ、今度の件について釈明し、検察と全面対決する姿勢を鮮明にしました。これは、日本における事実上の政治的最高権力者と、同じ国家機関の一部である検察が対峙するという異常事態を意味します。

ここまで突き進んでしまった以上、検察当局としては「何もなかった」とは言えないはずです。おそらく、法に則ってギリギリのところまでやる覚悟でしょう。しかし、検察はこれによって国民が失うものも計り知れない—ということを少しは考慮すべきでないかと私は思うのです。

昨年の衆議院選挙は、国民の日本を変えてもらいたいという強い願望が民主党に大圧勝をもたらしました。そして、それに応えるために民主党政権は今、およそ戦後政治の中で行われたことがないくらいの大改革に着手したところです。地検の手がけたひとつの事件によって、国民の負託に応えようとする民主党政権がガタつき、万が一、鳩山首相が政権を投げ出すようなことになったら、それこそ「この国にとって大きな損失である」と言わなければなりません。

このことについては1月17日、東京大学の御厨貴(みくりや たかし)教授が朝日新聞紙上で「今回の特捜部の捜査は、小沢幹事長の旧自民党的体質、つまり手段の部分だけに光をあて、政治と社会の変革という目的の部分を意図的に無視しているようにしか見えない。いま小沢一郎という人物を追い詰めることで、検察はこの国をどうしようとしているのか」と指摘しています。私が申し上げたいのは正にこのことなのです。

検察が罪は罪という意識を持ち、命をかけて徹底的にやるという気概を持つのは結構なことだと思います。しかしながら、そのことによって日本の政治がガタつき、展望が開かれないということになるとしたら、国民の失望は取り戻すことができないくらい大きいのではないでしょうか。

さらに今、検察によるマスコミへの意図的な「情報リーク」がクローズアップされています。これによって、まだ捜査中で法的な決着がついてない間に、石川氏も小沢幹事長も完全に悪者扱いされ、釈明の機会もないまま世論によって裁かれようとしています。同時にこの捜査の問題点を指摘する民主党まで敵視され、内閣支持率や政党支持率も大変な下がりようです。最悪の場合、民主党という政党が瓦解しかねません。

日本の政治は今、何をしなければならないのか、日本そのものがどういう方向に辿らなければならないかを考える時、国家機関の一部である東京地検特捜部という一捜査機関の動きが、この国の運命が大きく左右しかねない状況は極めて危険です。東京地検のみならず、検察庁は単なる法の番人にとどまらず、大きな歴史を視野に入れてこの事件の捜査に当たっていただきたいと私は願って止みません。

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