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2010/03/23

新エネルギー事情(1)

10年ばかり前でしょうか。秋田県内の市町村でも、風力発電にずいぶん関心が集まった時がありました。何せ、旧来の地場産業が衰退していくのが目に見えていた中でのことです。北西の風が強いという秋田の気候風土を活かし、新しい産業の振興と地域興しに取り組もうと皆、血まなこになったのも無理はありません。

私のよく知る旧峰浜村(現八峰町)の芹田村長も張り切り、会社の立ち上げ寸前まで行きました。しかし結局、頓挫したのです。ちょうどその当時は、私も風力に関心を持ち始めた頃でしたので、峰浜村の事例も含めて風力による発電がひとつの産業として成り立つのかどうかを調べてみたのです。

現在もそうだと思うのですが、建設に当たっては経済産業省関係のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの補助金が自治体ですと50パーセント、民間ですと30パーセントあるはずです。ところが、電力会社の主力幹線(系統)までの送電線は立ち上げる側の負担となっていました。そして、一番のネックは電力会社が毎年一定量の枠内でしか買わないことにあります。

例えば、電力会社が「今年は20万キロワットしか買いません」と言えば、いくら民間や第3セクターが風力発電所を立ち上げても、この枠の範囲内でしか売ることはできないのです。さらに、売電価格も入札によって決められます。

風力発電ですと、採算が取れるギリギリのところがキロワット当たり12円前後でしょうか。しかし、競争入札ですとそれを上回るかどうかの保証がありません。したがって、キロワット当たり9円だの8円だのということになりますと、とても事業として成り立ちません。

一方、電力会社にとっては水力や火力、原子力など安くて安定した電力供給源がいくらでもあります。ちなみに、水力はキロワット当たり8.2円~13.30円、石炭は同5.0円~6.5円、原子力は同4.8円~6.2円、石油は同10円~17.30円となっております(2008年度エネルギー白書より)。電力会社が風力に消極的な言い分は「風の強弱によって不安定な電気では困る」というものです。

こうした背景が影響し、風力発電の話は秋田県だけでなく、全国的にも急速にしぼんでしまいました。それ故、国内最大手の風力発電会社などは日本市場に見切りを付け、欧米に進出して大掛かりな仕事をしているのが現状のようです。

ちなみに、2002年には「RPS」法という画期的な法律が成立しています。この法律は、電力会社に風力や太陽光などクリーンエネルギーで作る電力を買うことを義務付ける制度で、「固定枠制」とも言われるものです。しかし、この法律は罰則規定はあるものの、電力会社も経済産業省もはっきり言えば、のらりくらりとした対応しか取ってこなかったのが実情ではないでしょうか。

ところが昨年9月、民主党政権が成立してから、いささか状況は変化しつつあります。民主党のマニフェストに掲げられていた「固定価格買取制度」が、にわかにクローズアップされることになったのです。この理由としては、ドイツやスペイン、イギリスやアメリカなどの欧米各国も固定価格制度を取り入れ、クリーンエネルギーにかなりの成果を上げていることもあります。

これらを背景に、経済産業省も内部で研究会を重ね、政策会議の専門委員会に具体的な政策案として上がってきたのです。いよいよ経済産業省も本腰を入れて動き出したと言えるでしょう。(続く)

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