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2010/05/24

参院選を展望する

任期ギリギリまでズレ込むことも予想された参院選でしたが、どうやら6月24日公示、7月11日投票で落ち着くことになりそうです。昨年の衆院選直後の空気からすれば、民主党の圧勝を誰もが想像したところですが、たった9ヵ月で世の中の雰囲気はガラリと変わってしまいました。

ここ半年を振り返ってみると、ニュースで繰り返し流されたのは政治とカネの問題です。そして、ここ最近は沖縄の米軍基地に絡めて、鳩山首相の判断の甘さなどが批判の対象となっています。このふたつの問題で、政権交代を強く求めた国民の興奮もすっかり冷めたような感じです。

実際、秋田に帰ると皆さんが厳しい意見を口にします。さりとて、政権交代前を懐かしむわけではありません。誰もが「しかし、自民党もダメだ」と言うのです。もちろん、自民党県連の幹部の方々も、その辺を承知しているからこそ、なりふり構わず知名度の高い元プロスポーツ選手を説得し、公認したのでしょう。

聞くところによると、この候補者は各種集会で握手とサイン攻めに合っており、政策の周知は二の次のようです。そして、自民党はこの候補者の知名度を利用する一方、党の色を隠すのに徹しているようにも見えます。

選挙の目的が「勝つ」ことにある以上、戦術としては正しいのかもしれません。ただ、大半の有権者は冷静に眺めています。

先日、ある飲食店に入ったところ、つい立ての向こうから激しいやりとりが聞こえてきました。「元スポーツ選手に国会議員が務まるのか!」「お前のところだって、アナウンサーを立ててるじゃないか!」。民主VS自民の構図は、これまでになく白けています。このためか、有権者のもっぱらの関心事は新党の動きです。

例えば、秋田出身の有名な医師は新党からの出馬に意欲的だという話(比例を希望しているそうです)があります。ただし、周辺には出馬を促す声ばかりではなく、政界進出を引き止める意見も強く、両者が激しく争っているとのことでした。私自身の経験から言って、こうした状況で飛び出すのは非常に困難なことのように思います。今後、この党が別の候補を探し当てられるかどうか。多くの有権者の方々も注目していることでしょう。

最後にひとこと申し上げます。それは鳩山首相が辞任するのではないかという憶測についてです。

メディアは盛んに「5月政変説」を宣伝していますが、これは基本的にありえません。確かに、沖縄の米軍基地問題で鳩山首相は窮地に立たされました。支持率も低下していますが、党内は鳩山さんの続投で一致しており、危機をささやかれる5月は乗り切るのではないかと考えています。

むしろ、問題は参院選後です。その結果次第では、鳩山さんが重大な決断をする場面がないとは言い切れません。果たして、政権交代からわずか1年でトップの首をすげ替えることが、この国にとってプラスなのかマイナスなのか。そこまで展望して「選択」することが求められているのではないでしょうか。

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2010/05/19

案外知られていない政策会議

予算委員会や本会議の場面はテレビ放映されますので、皆さんはよくご存知かと思われますが、各府省の「政策会議」となるとピンとこないかも知れません。

これは民主党政権になって初めてできた制度です。現在、各府省の重要な政策決定は官僚を入れず、大臣・副大臣・政務官で構成される政務三役会議で決められておりますが、この政策決定に当たってあらかじめ他の民主党所属の国会議員の皆さんの意見も反映させるため、開かれるのが「政策会議」です。

ただこの会議も、人数が多いため、限られた議員しか発言できないという難点も有りました。そのため、私が係わる経済産業省の場合、政策会議の下に主要課題である成長戦略、中小企業、資源エネルギー環境の3つの専門委員会を設置し、徹底して議論できるようにしたのです。

私は資源エネルギー環境専門委員会に所属しましたが、丁度この国会で地球温暖化対策基本法案が提案され、昨日可決されましたが、日本が2020年までにCO2(二酸化炭素)を1990年対比25%削減するために非化石燃料を全エネルギーの10%導入しようというのです。そのため専門委員会では「エネルギー基本計画」の見直し作業に入ったのです。この10%をエネルギー換算しますと3102kw3773kwとなります。

これを太陽光はいくら、風力はいくらという具合に割り振りするのです。資源エネルギー庁の原案では2010年までに太陽光が2800kw、風力で500kw等の目標を立てたのです。

しかし、私は世界の動向を見ても、風力が圧倒的に主流だから日本も風力の目標をもっと高くすべきだと主張したのです。私の主張はエネルギー基本計画見直しに向けての意見書の中に「再生可能エネルギー導入促進の取組が、太陽光発電の導入に偏っているのではないか。風力発電の導入にもっと力を入れるべき。風力発電の導入ポテンシャルは高い。適切な施策によっては飛躍的な拡大が可能である」と盛られたのです。

517日午後、経済産業大臣室で政務三役に意見書を差し出し、これを尊重して頂く事をお願いしてきた所です。このように一つの政策が、政策会議の専門委員会を通じて形成されていく過程が少しはお分かり頂けたのでないでしょうか。

ただ、この計画の見直し案は法律でありませんので閣議で決定されるのです。法律ですとこのあと、委員会の審議と採決を経て、本会議で採決、参議院でも同様の過程を経て正式な法律となるのです。

注:私は経済産業省政策会議資源・エネルギー・環境専門委員会提言作成チーム〈エネルギー需要構造の改革〉〈次世代エネルギー・社会システムの実現〉〈革新的なエネルギー技術の開発〉チームのチーム長と〈エネルギーを基軸にした成長戦略〉チームの副チーム長を務めました。

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2010/05/08

「普天間移設」の視点

5月8日の朝日新聞1面トップは「普天間県外移設が頓挫(とんざ)」「徳之島3町長拒否」、同じく読売新聞は「徳之島移転を拒否、3町長首相要請に」。地方紙の秋田魁新報も共同通信の配信記事と思われますが、1面は中央紙とほぼ同じ。2面には「首相の構想、頓挫寸前」という見出しで「政権がさらなる窮地に追い込まれてきた」と書いています。

連日の切れ間ないテレビ・新聞の報道は、地元の反対運動と鳩山首相の迷走を印象付け、その上で首相の指導力を問うというスタイルで一致しています。メディアの影響力を考えると、事態の収拾がますます難しく,地元の移設反対運動は、反基地・反米軍の闘争へと燃え上がっており、さまざまな思惑が複雑に絡んでいるようにも見えます。私はこの問題が、長びけば政治闘争へと発展する恐れもあるのではないかと見ています。この状況は、古い話になりますが昭和30年6月の安保闘争を想起させるものです。

当時、岸首相は日米間の対等な安全保障条約改定をねらったのですが、結局は国会のみならず日本の保革対決の天王山とも言うべき大きな政治闘争へと発展しました。話はやや飛躍するかもしれませんが、沖縄県に限定されますが、これとどこか似た空気が醸成されているような気もします。

私が今、心配しているのは、この問題が長期化して混乱すればするほど、事の本質が見失われかねないということです。鳩山首相の判断の甘さなど、確かに指摘すべき点多々あろうかと思います。また、私たちは戦後の占領政策の中で沖縄県全体が基地化され、さまざまな問題を抱えていることも理解しなければなしません。しかし同時に国家の安全保障からは切り離して考えなくてはいけないとも思います。

ふたつの事柄が絡んで問題は複雑化しているのですが、私たちは単なる基地移設反対の闘争だけではなく、この国の安全保障の問題に現実的かつ冷静な対応をしなくてはなりません。

外交評論家の岡本行夫氏は月刊誌「文芸春秋」の中でこの問題に触れ、沖縄の米海兵隊が「仮に日本から撤退する事態となれば、日米安保体制は一挙に弱体化する。中国にとって、これ以上望めない喜ばしい事態が極東にやってくる」と指摘しています。

社民党や一部の評論筋はグアム島や南洋諸島への基地移設を提案していますが、「抑止力」という点においてかなり難しいとも言われております。いずれにしても、普天間の問題を長期化させてはなりませんし、安全保障という現実的な視点から冷静に見つめ、考えることが求められているのではないでしょうか。

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