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2010/10/24

貿易自由化と日本農業

国内の農業事情に加え、世界の自由貿易の波にさらされる日本農業は、成り行きによっては大きな打撃を受けかねない事態を迎えようとしています。それを読み解くキーワードはFTA、FPA、TPPといった、これまで日本国民が余り聞き慣れていない略語です。

日本語でFTA(Free Trade Agreement)は自由貿易協定、EPA(Economic Partnership Agreement)は経済連携協定、TPP(Trans-Pacific Partnership)は環太平洋パートナーシップ協定と訳されます。

簡単に説明いたしますと、FTAは2国間や域内の国の間で関税を撤廃し、自由貿易を目指ざそうというものです。さらにEPAは貿易だけではなく、人や物を含めた広範な自由化を進める包括的な協定を指します。TPPに至っては、コメなどを含めて例外なき完全自由化を目指しています。

このように、関税を撤廃して自由化しようという傾向は世界的な潮流ですが、日本がこれに乗り遅れがちなのは、国内の農業事情が絡んでいるためといえます。

今、全国の農業団体が反対しているのは、仮にコメをはじめとする主要農産物が完全自由化された場合、日本の農業が壊滅的な打撃を受けるということなのです。

こうした動きの中で、今月10日に国会内で国会議員110人がTPPに関する勉強会を開いたのも、例外なき自由化に大きな懸念があるからに他なりません。菅首相は、党内議論もないまま急いでこのTPPを強力に推し進めようとしておりますが、これは消費税発言と同様、党内外を巻き込んだ政治問題に発展する恐れもあります。

これまで、日本は経済大国として自由貿易の恩恵を最も多く受けてきましたし、自由化は今後も進めるべきであると私は思います。ただ、日本人の主食であるコメはやはり、自由化の例外品目とすべきだと思います。又、コメ以外の主要農産物は食糧自給率を高める面からも当面慎重な対応が必要だと思います。

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2010/10/20

きびしい農業事情

民主党政権の目玉政策のひとつである、農家の皆さんに対する「戸別所得補償」が今年から始まります。この制度はアメリカやヨーロッパでは既に行われているのですが、生産調整(減反)に協力する全農家が対象で、生産費と販売額との差額分を国が補償するという画期的な制度なのです。

今年度はコメのみが対象ですが、今年は米価そのものが散々な状況にあります。その背景のひとつは、昨年度生産したコメが30~40万トン近く過剰米として残っていることです。過剰米がだぶついてるところに、今年度生産した新米が流通するということになれば当然、市場原理で価格は下がります。

秋田県についていえば、1等米で60キロ(1俵)当り、農協から農家への前渡し金が昨年より3,300円も下がって9,000円となっています。このため、各農協では1,000円を上積みして10,000円にしたのです。

また、今年は猛暑続きで1等米の比率が大幅に減っています。農水省の調査によると、秋田では前年比で75.8パーセントですし、全国平均でも64.4パーセントまで下がっております。1等米と2等米では価格差がありますから当然、農家収入は大幅減となります。

これに加えて、流通業者が「どうせ所得補償されるんだから」と農家の足元を見て、安く買いたたいているのも原因だというのです。こうなると、とても所得補償だけで救済することは不可能と思われます。

農協団体や農家の皆さんは、はじめから新制度に不安を持っていたものですから、猛暑などが偶然重なった今年の減収を受けて、政権への不満を募らせることになったようです。農協団体は、過剰米を何とか政府が一括買い上げすべきだと強く要望していますが、簡単ではありません。

これまで自民党政権でさんざんやってきたことを繰り返すわけにはいきませんし、自由市場に任せる代わりに、今年度は戸別所得補償費用として5,618億円もの予算を計上しているのです。

さらに、来年度は麦や大豆など畑作も対象としており、農水省は9,166億円の概算要求をしてます。いずれにしろ、日本中のコメどころの農家が苦境に立たされているのが現状なのです。

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2010/10/12

ポピュリズムへの自制

「民主党代表選と小沢氏の政治とカネ」「菅改造内閣発足と高い支持率」「大阪地検前田検事の証拠改ざんと逮捕」「尖閣諸島沖での中国漁船衝突による船長逮捕と釈放」「東京第5検察審査会が小沢氏の強制起訴決定」「日本人2人のノーベル化学賞受賞」

たった一ヶ月間にマスコミが大きく報道した主な出来事です。

次々と変わるたびに国民の感心や話題も一夜にして変わります。例えば917日菅改造内閣発足時、内閣支持率は読売新聞で66%にも跳ね上がりました。

ところが、924日中国漁船の船長を那覇地検が釈放したらマスコミは菅首相や関係大臣を徹底して批判し出したのです。

内閣支持率は、読売新聞では53%まで急落。事実この時は、党派や立場を超えて、大多数の国民が怒ったのですし日本人のナショナリズムめいたものがめらめらと燃え上がり、一時政府も弁明に追われ、苦り切っていたのです。

ところがです。その直後の104日、今度は小沢一郎氏の強制起訴決定のトップ記事です。テレビ・新聞・雑誌も瞬く間に小沢氏の政治とカネにチャンネルを切りかえたのです。

国民の耳目はまたまた一夜にして、小沢批判に集中です。あれだけめらめらと燃え上がった日本人のナショナリズムめいたものが一挙に消えたのです。

たまたま強制起訴の発表日が決まっていたのかもしれませんが、これによって国民の関心を「船長釈放」問題から「政治とカネ」に切りかえたメディア戦略の勝利だったとの専門筋の見方もあります。

一連のこうした流れを見ているとこれまで私が何度も指摘して来た事ですが、マスメディアに一方的に強い影響を受け兼ねない現代社会の一面が気になるところです。一つ一つ、冷静に背景を探りながらじっくり考える事も必要な事でないでしょうか。

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2010/10/04

検察の暴走を問う(2)

今後、検察はどうあるべきなのでしょうか。まず、密室での取り調べは即刻やめるべきです。そのために、取り調べの過程を録音・録画できるよう、可視化法案を早急に成立させるべきです。

また、特捜がこれまでよく用いた情報操作も止めて頂きたいのです。これはマスコミに情報を流して被疑者を悪人に仕立て上げる、極めて問題の多い手法です。こうしたマスコミ報道に国民は憤り、厳罰を求める世論を背景に逮捕するという筋書きを描くこと自体、法治国家にあるまじき行為であると思いますし、マスコミも手を貸すべきではありません。

さらには、検察が抱える組織上の問題を解決する必要があります。

このままでは、日本を法治国家として維持することさえ難しくなります。この国において、検察は最高の権力者でもなければ、統治者でもありません。あくまでも、国家機関の一部であることを認識すべきです。

本来、国民から選ばれた政治家、すなわち内閣が最高の統治権を有しています。ところが、国家の一部機関である検察がいつの間にか恣意的な捜査を始めるようでは、この国の将来は危ういと言わざるを得ません。

今後は検察庁自体が襟を正し、厳格で公平な組織運営をすることを強く望んでやみません。

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2010/10/03

検察の暴走を問う(1)

大阪地検が手がけた厚生労働省の事件では、逮捕された村木前局長が強引な自白調書によるデッチ上げであることが裁判で明らかになりました。それどころか、前田主任検事が証拠物件を改ざんしていたのですから、実に恐ろしいことです。

さらに、その報告を受けていた上司の特捜部長と副部長が事実を隠したとして、最高検に証拠隠避の疑いで逮捕されました。こうなると、検察の組織ぐるみの犯罪が疑われるばかりでなく、国民の信頼が大きく損なわれ、検察の権威も地に堕ちたと言わざるを得ません。

それにしても、無実の国民を自分たちの功名心と出世のために陥し入れ、人生をめちゃくちゃにするのですから絶対に許せないことです。

かつて、伊藤英樹検事総長が就任の際に「巨悪は眠らせない」と高らかに宣言し、この名言に国民の多くは「検察こそ権力の腐敗を追及する正義の味方だ」と、喝采をおくったものでした。

また大分前のことですが、東京地検特捜部長としてロッキード事件解明に当たり、後に検事総長を務めた吉永祐介氏にお会いしたとき、私は雲上人にお会いしたような気分になり、「正義の味方としてかんばって下さい」と話したことがあります。

しかし、最近の検察を見ていると、司法に関して素人の私でさえ「あまりに強引でひどい」と思わざるを得ません。

例えば、小沢一郎元幹事長の政治資金管理団体が、土地購入をめぐって収支報告書に虚偽記載をしたという件です。この疑惑により、今年1月に秘書だった石川知裕代議士が国会開会の直前に政治資金規正法違反で逮捕されました。

検察はまず石川代議士を突き崩し、次に小沢元幹事長の「虚偽記載」を共謀した罪で迫ろうとしたのです。ところが、その本当のねらいは別の所にありました。それはゼネコンの水谷建設の元会長が、収監中に「小沢さんに1億円を渡した」と供述したのを踏まえ、その一部である5000万円を都内のホテルのロビーで元会長が石川代議士に渡したとしたことを追及することだったのです。

検察は石川代議士の供述を元に、小沢元幹事長のヤミ献金疑惑を狙っていたのです。しかし、政治資金規正法について言えば、この法律自体、政治家本人を厳罰に処するというよりも金の流れを透明化させようという趣旨のものです。そもそもは、事務に携わった者の責務を問うことに主眼を置いているということです。

当時の事務担当者であった石川代議士に瑕疵があったとしても、記載ミスだけでは逮捕が相当の罪ではないのです。通常、これは修正で済ませているのです。もし、虚偽記載を責めるとしても、故意なのかどうかの判定が難しいですし、ましてや虚偽記載を共謀したとして、小沢元幹事長を追い詰めようとしたとしても法の趣旨からしても相当に無理があるのです。

結局この事件は壁に突き当たってしまいましたが、前田検事が絡んでいたとなると、今後の法廷で大きな論争を呼ぶことは必至でしょう。 ※続く

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