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2011/11/13

TPP参加を改めて考える

TPP(環太平洋経済連携協定)参加の是非をめぐり、民主党内や政界はもちろん、経済団体・JAなどを巻き込んで国内を二分する激しい議論が続いてきました。こうした中、野田首相は結局、参加への協議に入るという"玉虫色"の態度を表明、ハワイに出かけました。

野田首相は日本の国益を考えて決断したのですから、これは重く受け止めなければならないと思います。ただ、今度のTPPは明らかにアメリカの対アジア戦略の一環であり、中国を牽制するものだということも決して忘れてはなりません。

もともとアメリカのオバマ大統領は来年11月の大統領選を控え、国内経済の回復と雇用の改善という課題を抱えているのです。こうした背景があり、GDP世界3位の日本市場のさらなる自由化を求めているのです。

過去を振り返ってみると、日本は日米構造協議で大店法の改正をアメリカに迫られ、地方都市への大型店進出を許しています。結果、日本全国の伝統ある商店街の多くが「シャッター通り」と化してしまったのです。

また、1985年の「プラザ合意」では円高是正と内需拡大を強要され、急激な円高とバブル経済が弾け、今日に至るまで日本経済は浮上できずにいます。このように、日米交渉は常にアメリカ側に押し切られてきたのです。

話は変わりますが、21分野のうち農業分野に限って言えばアメリカの農地は平均して日本の100倍、オーストラリアに至っては2000倍近くの広さがあります。日本国内で農地の集約化やそこそこの構造改革を行ったにしても、とても太刀打ちできる話ではありません。

コメや小麦、牛肉、乳製品も皆、勝負にならないことはハッキリしています。必要なのは、今後、交渉の中で例外品目を守りぬくことが出来るか否か、そして日本の生産者をいかにして守り抜くかです。特に、食糧自給率を50パーセントに引き上げようとしておりますが、自由化によって逆に13パーセントまで落ち込むという試算もあります。

いずれにしろ、21分野それぞれの交渉においては駆け引きについて相当のテクニックと粘り腰が必要とされています。「開国か鎖国か」という二者択一を迫り、「バスに乗り遅れるな」といった安易な論に乗った妥協だけは避けて欲しいものです。

戦前の我が国は、英米路線と決別して安易に日独伊の三国同盟を選び、国家を破滅させてしまったことを改めて思い出すべきでしょう。60余年前の悲劇は、国家の指導者たちが世界の潮流を完全に読み違えた結果なのです。今回のTPPも同様、道を誤らぬよう今一度じっくり考えてみるべきと私は思います。

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